土すがりの逆襲

寺の領地内に住居を持つ人は、昔は寺内の人と呼んだ。 桜場部落の住人は、ほとんど寺内の人だった。小学校もその類になって居た。 子供の遊び場も寺内である。ことに洞雲寺境内は、絶好のスリルを有する堂宇と、山あり池ありで、近い校...

定義如来と芭蕉の句碑

連日、晴天続きの暑い真っ盛り。鉄道旅行の募集は、立秋になっても残暑はきびしいこの頃JR盛駅の企画だが、この暑さではとても老人の参加は無理だろう。同行の皆さんにご迷惑かけては済まない…と尻込みしてあきらめていた。台風十七号...

薬剤散布の功罪

奥の細道「芭蕉の句」になんとなく親しみを感じるのは、我々老人だけであろう。笑うのは戦後の生まれで蚤(のみ)にも虱(しらみ)にも出合った経験のない年代の人々で、大正以前に生まれた人たちは、かゆいのを我慢して、さながら同居生...

60年前の一大事件の思い出

越喜来に飛行機が墜落 小雨まじりの強い風の吹く、短い秋の日の夕方だった。突然、千葉脇三様(千葉薬店)のご来訪を受けた。急用である。越書来に飛行機が墜落したので、今から現場に行って写真を撮って来てくれるようにとの緊急の話で...

盛町村社の変遷

移り変わり多かったお宮 気仙の村社を拝巡してみて盛町の村社ほど移り変わりの多かったお宮はないのではないかと気がついた。本町通りの中央から平らな自然石を敷き詰めた参道はお伊勢街道で、五十メートル程進み、石橋を渡り、そこから...

黒松の男性美・洞雲寺の古木

岩手の樹は赤松と指定され宣伝されて、県下の名所旧跡は赤松が全盛を極めつけているようだ。松の木も女松が重要視される様な錯覚を感じる。 名所碁石海岸も、高田松原の景観を誇示するのも男松が繁茂して観光の役割をはたしているので黒...

隠れたる名勝・あやめ二題

梅雨の被害は北東のやませ風の影響が甚大だが、内陸地方は沿岸地域よりは悪影響はないようで、あやめの開花も十日も早い。 大船渡市内も九日以来気温が上り、三十度をこす真夏の暑さとなった。冷害を心配した農作物も、どうやら急速に発...

今出山登山

青年会講所主催の例年行事の一つに、市民の「今出山登山会」がある。六月十一日、参加募集の記事を見て、毎日裏庭に出ては双眼鏡で今年のツツジの咲きぶりを観察し、心は山頂を思い浮かべている。昨年は六月六日に友人の車で登った。真っ...

水沢・黒石の正方寺を尋ねて

我が家の宗門、この目で 五月雨の降る六月十八日、公民館婦人部主催の日帰りミニ旅行の話は今まで再三聞いていたが、東北の名刹で吾が家の宗門・曹洞宗第三の本山である大寺院参拝の機会を逸していたが、婦人部の計画で、男の出る幕では...

常舞台の思い出をたどる

盛町東部地域に字馬場がある。その昔の馬の調教や運動場である。幼い頃一度だけ草競馬を見た記憶がある。鐘と太鼓は洞雲寺から拝借して、何かの合図に打ち鳴らすと賑やかな農耕馬まで出揃って、馬場を駆け巡る。それでいまだに「馬場」の...